シダ展覧会、アオネカズラ、生物部の美少女、熱心な教師

 先月の中旬、久野地区の山の上にある小田原フラワーセンターでシダ展覧会が開催されていたので行ってきた。

 センター本館の2階フロアが会場で小田原シダ研究グループのメンバーが保護・栽培しているシダが数十種類展示されていた。

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 いずれも神奈川県西部の植生らしい。レッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている「アオネカズラ」もあった。県内では、自然植生は絶滅状態に等しいらしい。

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【アオネカズラ】



 およそ50年前、奥湯河原の渓流の崖にアオネカズラの群落があった。小生、中学1年のときに、理科の教師に指名されて生物部の部員になったことがあり、それを採集したことがある。

 特段、植物や昆虫に関心があって加入したのではない、生物部のほうに事情があった。

 何たって活動内容がシダやコケ、水生昆虫の採集、分類と標本つくりなど、あまりにも地味だったので3年生部員が卒業して部員がゼロになり、入部希望者が無かったため生物部崩壊という事態に至った。急遽、理科の教師が新1年生から5人を指名して部の存続を図ったのだ。

 全校生徒2400人、各学年800人の大規模校だったが生物部の希望者は一人もいなかった。

 後に教師の一人が密かな企みをもって選んだと聞いたが、指名された5人のうちに女子が3人。

 3人のうち2人は学年トップ級の美少女、他の1人はチャーミングで快活でスタイル良く健康的な好感度ハイレベルの女子。

 女子の魅力に釣られて男子の入部希望者が続々と…という教師の思惑は外れ去った。

 山奥の渓流の浅瀬を歩いて希少種のシダを探し歩き、崖をよじ登ってスリ傷だらけになって採集したり、田んぼの用水路に腰まで浸かり泥だらけズブ濡れになってタガメやゲンゴロウを追い回すという部活動は嫌われきっていたのだった。

 女子はその都度、教師の指示で活動する。小生は植物、O君は水生昆虫、つまり男子2名は実作業担当ということ(-_-)

 振り返ると多少の後悔があって、それは当時フランツ・カフカやアルベール・カミュに染まり始めていて、中学1年のガキだから精神的免疫もなく世界観が不条理に染まっていくにつれ、彼女たち全員に「まったくの変人」と思われていたのだ。

 『星の王子さま』や『銀河鉄道の夜』でも愛読していたら少しは女子に受けたかもしれない、残念。

 で、アオネカズラ。これは「最も美しいシダ」と言われていた。渓流の崖に生えている群落から採集するときは、大木の根にロープを括り付け少しずつ崖を降り根本の周囲の土ごと掘り取って胴乱に入れる。終わって合図を送るとズルズルと引き上げてくれる。こんな作業は女子にさせられない。教師か小生(O君は水生昆虫担当)がするのだ。

 この教師は大学生時代からシダの研究を続けていて、新種の発見も数多く(学名に発見者の名前が入る)、シダの採集に、ことのほか熱心だった。

 水生昆虫担当の教師は農薬の影響で昆虫が減っていることを嘆いていて採集に熱心だった。

 しばらくするとO君は転校したが、生物部のせいだったのかもしれない。

 これは50年前に崖から採集してつくったアオネカズラの標本。50年前のシダ標本は数十種類残っているが学術的価値があるのか無いのかわからない。多分、無いのだろう。

 だいぶ前に崖上に農道が造られ護岸整備をしたため、崖が削られて群落は全滅した。そんなことばかりするからレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されるのだぞ、神奈川県よ。
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